階段を駆け上がる俺の靴音が静かな住宅街に響く。
会いたいけど、声が聞ければそれでいい。
家の電気をつける前に、俺は直に電話をした。
部屋は、朝食のトーストの匂いがしていた。
『もしもし!!せんせー!!おかえりー』
涙が出るくらいに、かわいいやつ。
嬉しそうな声。
「直、チョコありがとな。最高にうまかった!」
俺は、ガスストーブのスイッチを入れ、電気をつける。
電話の向こうの直の笑顔がすぐそばにあるように感じた。
『良かったぁ!!靴箱の中に入れたから臭くなかった?』
直は、寂しさを見せないように頑張ってる。
俺は、その直の気持ちが痛いほど伝わってきて、目頭が熱くなる。

