俺は、自分の家へ車を走らせた。 駐車場に車を停めてもまだ、俺の気持ちは直の方へ向いていた。 凍えるような寒さの中、俺は空へ息を吐く。 駐車場から俺の部屋まで歩いて2分。 月を見上げた。 俺の吐く息が真っ白で、月にかかる雲のように見えた。 月は、いつもより大きく見えた。 あぁ、直。 お前も今、月を見てるんだ。 わかるよ。 月の向こうに直の笑顔が見える。 あと少し… あと少しって自分に言い聞かせながら、お前は毎日泣かないように頑張ってるんだ。 だから、俺も頑張る。