直が好きなものは、全部俺も好きだ。 直が見ているものは、俺も見たいんだ。 だから、俺は空ばかり見た。 体育の授業中、俺から目をそらすように空ばかり見る直。 俺は、直が見つめる空を…羨ましく思った。 もう、直に見つめてはもらえない。 もう、直は俺の直じゃない。 だけど、俺の中には直がたくさんいるんだ。 小さい直がたくさんいて、俺に話しかける。 別れても、直が残してくれたものは消えない。 俺が俺自身を好きになれたのは、直のおかげだから。