「バイバイ・・・先生!気をつけて帰ってね!!」


廊下を走り出す矢沢に、俺の注意は届かない。


「こらぁ!!廊下、走るな!!」


「あはははは!!じゃあ、またね~先生!」




また俺を無視して走る・・・


そんなに急いでどこへ行く?

お前はいつも走ってる。


どこに行くんだぁ?


たまには、俺と一緒に窓から夕日でも見てくれよ。

俺と一緒の歩幅で、この廊下を歩いてくれてもいいだろぉ・・・


走り去る矢沢の背中をまた俺は見つめていた。



『疲れたときはチョコ・・・』かぁ。


俺は、鞄の中から取り出したチョコを一口・・・



去年とは少し違ったチョコの味。

少し苦くて、切ない味がした。