俺は営業部を出て、生産管理部へ向かった。

生産管理部長の山下は、小心者ですべての責任を部下にかぶせる。

が、今回はおれのミスだ。

何を言われてもあやまるしかない。

ひたすら頭を下げて、作ってしまった商品を売る算段を考えよう。

そう腹をくくり、山下生産管理部長の前に立った。

「長倉クン、君は営業力がすごいな。
うちの死に筋商品をあんなに作るとは、どこに売り込んでくれたのかな」

「えっ、あの。その件はですね」

俺はどう言い訳していいか、わからず言葉が出なかった。
いきなり怒鳴られることを想定して、「すみません」の一言しか頭になかったからだ。

山下は一呼吸おいて、声を落とした。
「実は相談があるんだがね」

「そ、相談ですか、、、」
「ああ、君が発注した分をこちらに回してくれないか」

「えっ?」

「いや、ある会社のキャンペーン用に配ることになってな。至急680個必要なんだ」
「マジっすか。でも、680個って、半端ですね」

「そんなことはどうでもいいんだよ。いいな、680個こちらで処分するからな」