そんなある日、いつものように彼女たちのブログをチェックしていると、かなぷーがこんなことを書いていた。


「私最近ケータイ小説にめっちゃはまってて。中でも銀波白さんっていう作家さんが超大好きなんですよ~」


ケータイ小説って、あの、素人が書いて映画とかになってるやつか。


その後、かなぷーはブログでケータイ小説の話ばかりするようになり、特にその銀波といいう作家への傾倒ぶりは異常なほどだった。


挙げ句には


「最近ケータイ小説の話ばっかりしてるからついにマネージャーさんに怒られちゃいました。しばらく控えますね」


という記述がなされた。


それ以降彼女がその話をすることはなかったが、


「今日も寝る前にケータイ小説読んでから寝よう」


とか


「ケータイ小説読みすぎて携帯の電池がすぐ切れる」


という記述が見られ、最近では他のメンバーも


「かなぷーが楽屋でずっとケータイ小説読んでて構ってくれないー」


とネタにするようになり、私生活ではその熱が未だ冷めやらぬことが伺い知れた。


そんな時、俺はあることを思いついた。


「俺がこの銀波って作家になりすましてかなぷーにメールすれば、もしかしたらかなぷーとお友達になれるかもしれない」


後から考えると、稚拙で最低のアイディアだったと思う。


でもそのときは自分でも不思議なほどノリノリになってしまい、ほんのイタズラのつもりで、その作戦を決行した。


ブログのコメントやホームページのメールに直接メッセージを送れば事務所に検閲されてしまう。


だがPooh!はファン拡充の為に、あるSNSにメンバー全員が参加しており、そこでなら個人にのみ届くメッセージを送れるようだった。


俺はそこをついて、早速こんなメッセージをかなぷーのSNSあてに送った。