意識が戻ったのは、腕に感じた違和感から。


ああ…なんか、これ、アレだ。

あの、アレだよ。

私が嫌いなアレ。


うう…。目、開けたくないな…。


だって目を開けたら、きっと視界に入るよ。経験済みだからわかるもん。


「…い」


ああ、でも、寝過ぎたかも。なんかちょっと頭いたい。


「おい」


しかもさっきから聞き覚えのある声が私を呼んでいる。


寝起きには聴きたいとは思わない声。


「……起きてねぇのか?」


いや、起きてます。


……よし。開けよう。

よく考えれば、多分助けてくれたのはこの子だろうし。


そう決めて、そっと目を開ければ目の前に写ったのは予想通り、赤。


「……おはよう、不良君」

「……いや、俺不良じゃねぇし」


屋上で見た、赤。