幸せの残量─世界と君を天秤に─



「もうあんた何なの」


「あんね、君こそ、ここ立ち入り禁止だよ」


「いや、あんたもだろ」


「む」


生意気な。

私は良いんだよ。ちゃんと鍵使って入ったんだから。

君は不法侵入でしょ?


「寧ろ何で鍵持ってんだよ」


「…………………拾ったのさ」


「嘘だろ」


「……。ああ、いやウソジャナイヨ」


「舌打ちしただろーが」


聞こえてたのか。

でも駄目。企業秘密っす。


「まあ、別に何でもいいけど」


不良君はそう言うと再びフェンスを乗り越えた。


カシャン

最後にそう鳴って、フェンスは小刻みに揺れている。