幸せの残量─世界と君を天秤に─


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「なんて時もありましたね」


「いきなり何なんだ」


「いえ、懐かしいなあって」


あれからもう一年。


変わったことと言えば私が『巧さん』って呼ぶようになったのと、巧さんが更にドSになったくらいですかね。



「亜優美は前よりゆるくなったよな」


「どういうことですか」


「そのままだ」


「巧さんは相変わらずですね」


あ、でも巧さんは笑顔が増えたような気がします。


大概は今みたいに意地悪そうな微笑みですけど。



あの頃はこうして、巧さんの膝の上に乗って話すなんて考えられなかったな。