小雪さんのケータイが一瞬鳴った。
「あ、ダー下についたみたい。帰るね」
そう言ってバッグを持って帰り支度をはじめた。
「僕、下まで送ります」
「あたしも…」
「いや、桃花はいいよ。司クン、ちょっとコウジに挨拶だけしてあげてくんない?」
「ハイ」
小雪さんは、サツキさんにもそもそと内緒話をして、にやりと笑った。
サツキさんは赤くなっている。
あんな顔するんだな、何言われたんだろ。
エレベーターの中で、小雪さんに尋ねた。
「サツキさんとおつきあい長いんですか?」
「うん。あの子が風俗入ってからすぐの頃からだから、5年になるかな」
「そうですか。仲いいんですね」
小雪さんは俺の顔を真剣なまなざしで見つめて、言った。
「司クン。あの子、強がってるけど…」
うん。
小雪さんが途中で言葉を切ったので、俺は続けた。
「寂しがりですよね。結構子供だし。ズレてるし」
「ふふ、そう、ズレてる」
あたしは、コウジっていう心の支えができたから、社会復帰できたけど、あの子はタイミングもやる気もなくしてるみたいだから…と、小雪さんは聞こえるか聞こえないかくらいの声で続けた。
社会復帰って。
「風俗だって、立派な仕事だと思いますけど」
れっきとした社会人でしょ。
小雪さんはちょっと残念そうな表情で俺に言った。
「それは、きれい事だよ司クン」
「そう、ですか?」
「そう。ま、わかんないか」
「わかんないです…すいません」
「いい子だね司クン」
いい子って。
俺はちょっとふくれてしまった。
「ごめん、ごめん」
少し笑ってから、小雪さんは真面目な顔になって俺に言った。
「桃花のこと、よろしく…していい?」
俺はきっぱりと答えた。
「おまかせください。サツキさんは俺が真人間に育ててみせます」
小雪さんはしばらくぽかんとした後、クスクス笑い出した。
「うん、うん、それでもいいや。あはは。面白い司クン」
…俺は至って真面目なんですけど。
「あ、ダー下についたみたい。帰るね」
そう言ってバッグを持って帰り支度をはじめた。
「僕、下まで送ります」
「あたしも…」
「いや、桃花はいいよ。司クン、ちょっとコウジに挨拶だけしてあげてくんない?」
「ハイ」
小雪さんは、サツキさんにもそもそと内緒話をして、にやりと笑った。
サツキさんは赤くなっている。
あんな顔するんだな、何言われたんだろ。
エレベーターの中で、小雪さんに尋ねた。
「サツキさんとおつきあい長いんですか?」
「うん。あの子が風俗入ってからすぐの頃からだから、5年になるかな」
「そうですか。仲いいんですね」
小雪さんは俺の顔を真剣なまなざしで見つめて、言った。
「司クン。あの子、強がってるけど…」
うん。
小雪さんが途中で言葉を切ったので、俺は続けた。
「寂しがりですよね。結構子供だし。ズレてるし」
「ふふ、そう、ズレてる」
あたしは、コウジっていう心の支えができたから、社会復帰できたけど、あの子はタイミングもやる気もなくしてるみたいだから…と、小雪さんは聞こえるか聞こえないかくらいの声で続けた。
社会復帰って。
「風俗だって、立派な仕事だと思いますけど」
れっきとした社会人でしょ。
小雪さんはちょっと残念そうな表情で俺に言った。
「それは、きれい事だよ司クン」
「そう、ですか?」
「そう。ま、わかんないか」
「わかんないです…すいません」
「いい子だね司クン」
いい子って。
俺はちょっとふくれてしまった。
「ごめん、ごめん」
少し笑ってから、小雪さんは真面目な顔になって俺に言った。
「桃花のこと、よろしく…していい?」
俺はきっぱりと答えた。
「おまかせください。サツキさんは俺が真人間に育ててみせます」
小雪さんはしばらくぽかんとした後、クスクス笑い出した。
「うん、うん、それでもいいや。あはは。面白い司クン」
…俺は至って真面目なんですけど。


