がたっという物音がした。

「!!」

びくっとして後ろを振り返ってみても誰もいない。
ただ、社があるだけだ。
恐る恐る前を見る。
すると、いつの間にか、狐のお面をかぶった男の子が前に立っていた。
すっと手を伸ばしてくる。

「助けてあげる」

「え?」

「助けてあげる。ここは危ないから、安全なところにつれてってあげる」

「危ないって、ここはどこなの?」

「神の世界。ニンゲンがいたら、いつか消えてしまう」

「神の世界?じゃあ、あなたは神様、なの?」

「違うよ、お姉ちゃん。僕は神様にはなれない。でも、今度お兄ちゃんが神様になるんだ」

男の子は嬉しそうにふふっと笑った。

「さあ、行こうよ」

「う、うん」

男の子の小さな手を取った。
優しく握り返してくれて、振り返って走り出した。
また鳥居の下を走り抜ける。