「うわぁ毛虫だ、気持ち悪いっ」


急に飛び退く子供、そして興味深々と覗きこむ子供。

反応は様々だが、一斉に子供たちの興味が桜の木の根元に集まった。


「このっ、このっ」


男の子が、桜の木の根元を乱暴に蹴りだした。

毛虫を踏みつけているらしい。

桜の木の皮がめくれ上がるほどの勢いだった。


――その瞬間、怒声が上がった。


「何をしておるんじゃあっ」


すさまじい剣幕の老人の声だった。