「効果はありましたか?」

 青年は美知子の指を優しく撫でながら、訊ねた。

 昨日の予定通り彼女はネイル屋に来ていた。ネイル屋の青年─キサイフヒト─は別段驚く事無く彼女を招き入れた。

「ええ、とっても。素晴らしいわ。皆私を綺麗だと言ってくれたの」

 うきうきと話す彼女に、青年は満足そうな顔を見せた。

「それでは今日は、どのような感じに致しましょうか」

「笑顔の似合う女性になりたいわ。綺麗だけじゃなくて。笑顔が素敵な女性に」

「畏まりました。他に何かご希望は御座いますか? デザイン等の」

 そう訊ねられて思い出した。横山里沙が蝶々のデザインのネイルをしていた事を。

「蝶々。蝶々を描いて欲しいわ。うんと可愛く」

「畏まりました」