呟く声は誰にも届くことなく掻き消えた。 同時に、ふと前を見つめた。 目を細め、じっと見据える。 「……」 一人の女が立ち止まって俯いていた。 薄暗くて顔は見えないが、長い髪を風になびかせ立ち尽くすばかり。 ……面倒事に巻き込まれんのは勘弁だ。 このまま見知らぬフリをしようか迷った。 ゆかりを探しているのに、そんな暇はない。 だが、俺も男だ。 と、迷っているとある物に目がついた。