少し、懐かしく思った。 去年までは兄と一緒に暮らしていたから、 いつも家の中は騒がしかった。 だけど今は静けさを増した―――あの家。 寂しくはない。 でも、時おり物足りなさを感じるのも確かで……。 『…………』 私は静かに目を閉じた。 騒々しさが心地よく、甘い香りが眠気を誘う。 ただ静かに私は、 夢の中に―――――――落ちた。