そして夕方近くになった頃、宅配で小さな荷物が届いた。
送り主を確認すると“南雲 正史”と書かれてあって、首を傾げながらも包みに手をかけたあたし。
箱を開けると綺麗な包装紙が顔を出し、さらにそれを破ると……
「これって……」
もしかして、タダシからのバースデープレゼント?
光沢のあるベルベッドケースに納まっていたのは、ダイヤのネックレスだった。
さっきまで感じていた孤独が吹き飛ぶくらいに、胸が躍りだす。
女っていうのは、まったく現金な生き物だ。
あんなに一人で暗くなってたくせに、高価な贈り物一つでリセットしようとしてる。
あたしは跳ねるような足取りで階段を駆け上がり、部屋に入って携帯を握った。
日本より1時間遅れのシンガポールは、夕方の4時過ぎだ。それに今日は土曜日だし。
「今なら電話していいよね?」
暗記はしているのに、かける頻度は多くない番号へ急いでコールした。



