「サクラさん、また溜め息ば~っかり!」
その声に顔を向けると、いつの間にかリンちゃんが立っていた。
「幸せ逃しちゃった、って顔してますよぉ?」
「え……そお?」
はい。と大きく頷いてから、まじまじとあたしの顔を眺める彼女。
「な、なぁに?」
仰け反り気味に訊ねたら、リンちゃんは大袈裟な程に深く息をついた。
「どうして二人して、同じような冴えない顔してるんですかぁ?」
「はい……? 二人って誰のこと?」
酔ってるのかな? なんとなく怒ってるようにも見えるリンちゃん。意味がわからず聞き返したのに
「ムカつくから、サクラさんには教えてあげませんっ!」
なんて、更に唇を尖らせた。
ハルと組んで仕事してた時は、よくこうやって絡まれたけど。
今日はハルはいないし、それに最近はずっと話もしてないというのに、どうしたんだろう……。



