あきれるくらい側にいて

 
昨日の午後にシンガポールから帰ったタダシは、帰国の第一報をあたしではなく彼の母親に入れたらしかった。

お義母さんからあたしのところへ電話がきたのが、仕事を終えて自宅に帰った直後。


「あの子は疲れてるんだから、すぐにお世話しに行ってちょうだい」


って半分怒鳴られながら言われた時は、さすがにキレそうになったけど。我慢して電話を切った後にタダシに連絡をしても、いっこうに繋がらなくて。

仕方がないからタクシーを呼んで、疲れた体を引きずるようにして彼のマンションへ向かったのに。

その車内で彼からメールが入り、4時間以上前に帰国していたことを知らされた……まぁ、そこまでは良かったんだけど。

短いやり取りをしながら車を降りて、マンションのエントランス前まで歩いたところで、


『いまマンションの前なの』ってメールしたら

『今日は疲れてるから。明日会おう』と返されたんだ。