あきれるくらい側にいて


不審人物らしからぬ甘い顔立ちに、一瞬怯みそうになる。

それに顔だけじゃなく甘めの声は、どことなく聞き覚えがあるような気もして。

さらに、このパチクリでウルウルな瞳って、実家で飼ってるミニプーのマルに似てるっ!


「………(ちょっとっていうか、かなりカワイイかもっ)」


なっ 何を考えてんのよ、この状況に及んで!
今は、そんなこと言ってる場合じゃないでしょ!!
だって相手は変質者なんだからー!!!


力づくでベッドカバーを引き寄せたあたしは、慌てて体に巻きつけて。

「こっちに来ないで!!」

ベッドを降り、部屋の隅にあるドア目がけて走った。


その向こうにあるのは階段。

あたしの住むマンションはメゾネットタイプで、階下にはLDKやバスルーム、玄関等がある造りになっている。