あきれるくらい側にいて


朝から全然オトメじゃない妄想をしてたあたしだけど。

次の瞬間、予期せぬ事態に動きを止めた。


「ん?」


布団の中に潜らせたままの右手が触っているものは、見なくてもわかる。

それは髪。
そう。タダシの髪、の……毛?

いや。おかしい、っていうより違う。

タダシの髪は、太くて硬くてゴワゴワのくせっ毛なのに。いま触れているのは細くてやわらかくてサラサラで、しかも長さも違う。


「………」


あたしは、そっと右手を引き抜いた。

そして、規則的に上下する目の前の山をしばらく無言で見つめた後、意を決し一気に布団を捲り上げたのだった。