彼は幕末戦士






「つまり、僕は未来に来てしまったということかい?」


「そうそう」


「戻る方法はわからない、ということかい?」


「そうそう」



あれからクローゼットに何度も入ったのだが、戻ることができないのだ。


「しばらくここに居ていい、ということかい?」


「そうそう………………って違うわ!」



危うく話に乗せられてしまうところだった。


「そうか…………」


そんな、しゅんとされても困ってしまう。
なんだか、河上が小動物に見えてきてしまった。
こんなに体はがっちりしているのに、何故だろう。……………………。




「…………迷惑、かけないなら、いいよ」


「本当!?優しいね、小春は」


「迷惑、かけないならね」


「うん。お世話になりますっ」




なんだか、流れで言ってしまったが、言った以上は仕方がない。
でもよく考えると年頃の男女が一つ屋根の下って…………。これも今更考えたって仕方がないこと。




これから、大変になりそうな予感がする。
私はどっとため息をついた。