一応人の言葉が通じるのは、分かった。
「ねえ。君はここを護っているだけの霊でしょ? 私達人を探しに来たんだけど」
「ム? お前達は家康様の宝を狙いに来た盗賊じゃないのか?」
あ……
やはり、間違われている……
「それで攻撃したの? 違うよ~私達はそんなんじゃないよ~」
「何だ。違うのか」
そう言うと眠り猫は爪を引っ込め、体も真っ直ぐ立ち直した。
「んも~~~!!! 勘違いなんだからこのネコチャンは!! ほーらゴロゴロゴロ!」
「あふん。止めろ人間風情が。あ、でもあふん。気持ちいい」
礼子は眠り猫のアゴをかき撫で、ゴロゴロ喉を鳴らしているのをオッサンは遠くから見ている。
(コイツら……数秒前は殺し合っていたのに、今は……
マジかよコイツら……)
それを、ただ呆然と眺めている



