彼女の好き勝手やらせるのも、躾にならない。
とにかく、先に先に進むのが先決だ。
「ほら……もう直ぐだから礼子君……それにほら、400年祭の旗や提灯が飾られてる。きっと祭りは近い。確認出来たら後は好きでいいから」
早くに任務を終え、それが済んだら自由を与える。
単細胞な礼子が、食いつきそうな条件だ。
「ホント? 何でも? うわーい終わったらあんみつ食べよ」
条件を受け入れ、先に進む事を選択した。
さすがにオッサン。
礼子に対し、誰よりも交渉上手になっている。
そのまま進むと、いよいよ近くなる日光東照宮。
平地より小高い場所にあるので、社の頭の部分が見えている。
ようやく着いたようだ。
「ん……あれ……?」
その塀の周り……
ズラリと警備をしているハズの霊達が、居ないではないか。
「ほえ~~意外に静かねえ?」
何だこの静けさ。
いくら夕暮れ時とは言え、準備をする人の姿しか見えない。
霊は……?



