霊務・ザ・ファイナル(霊務4)


山越え、谷越え、森を越え。










ようやく栃木県に入った、礼子とオッサン。










久々の街中を通り、目指す日光市まであと少し。











「ベロベロバー!!」











「ギャース!! ウワーン!!」











礼子が両手を上げるのに対し、鳴きながら去ってゆく者。










オッサンは溜め息つきながら、遠くから彼女を呼んだ。










「ホラホラ、霊の縄張り争いしてイタズラに威嚇しない。さっさと行くよ(ってかこっちの地方の霊、凄い叫び方するな……)」











遊びもしつつ向かうが、何しろここ数日間は歩きっぱなし。






霊だから疲れはしないが、暇を持て余し飽きてきたとこだ。











「疲れたよ~オッサン~~。その辺の喫茶店入ろうよ~~」










だから疲れないちゅーに。



しかも、喫茶店て……











「入っても食えないでしょ。無駄な事には付き合わないよ」











「でも供え物はエネルギー貰えるでしょ? それでもいいから~」










コイツ……

客が頼んだ物を、自分の供え物にしようと考えているのか?










それをすると、本来人間が食べる食物のエネルギーが減るので、霊界では手は付けないのが常識。









礼子のソレは、他人の物も俺の物と言う、まさにジャイ○ン式考えである