オッサンは、意味不明な事を言っている。
「その徳川家康が眠ってるとこで警護? どーゆーこと?」
礼子が聞くと、オッサンはコホンと軽く咳き込んだ。
あ!
この咳き込みは……
オッサンの癖で、よく長く説明する前に軽く一呼吸する間合いだ。
さすが、いつも一緒に居ただけの事はある。
礼子はそれを読み取り、小石を耳に詰め込んだ。
(どーやって?)
「いいかい? まず徳川家康は歴史上の超有名人物。説明しなくても分かるよね? 彼が死にお墓を建てたのが日光東照宮。そこで100年ごとお祭りが人間界で開かれており、今年2015年には400年祭を迎えるんだ。それはそれは重要なお祭りで……~~~」
口パクしてるのが見える。
多分前半は、どうでもいい説明だろう。
10分後、だいたいの頃合いをつけて小石を取る。
「んで、結局何で警備すんの?」
「ああ、家康公の霊は100年に一度の祭に目覚めるらしいんだ。東照宮の中は彼の側近である武家達が守っているらしいが、身内でないウチらはあくまで東照宮の周りの警備。とにかく昔からの決まりらしいよ」
ホラ、うまく結果だけ聞けた。
以上、礼子のオッサン対話術でした



