見ると、黒ガラスは全くの無傷。
正面に突っ込んだ眠り猫の姿はない。
「そんな……」
礼子はガクッと地面に膝を付けた。
この勝負の結果に黒ガラスも勝った事実に気付き、歓喜の声を上げる。
「フ、フフフ……フハハハハハ。徳川猫め! ついに滅んだわ!」
念願の徳川関係の抹殺。
その快感に気分は高揚し、己の力に酔いしれていた。
辺りの毛が全て落ちきると、虎砲を放った隣に何か物体が現れた。
……
それは、尻餅をついた眠り猫……
ええ!眠り猫!?
「え?」
「え?」
眠り猫も黒ガラスもワケの分からない声を出して、一瞬の間が空いた。
「あ、ニャンコちゃん。攻撃」
礼子がボソリと呟くと、ハッとした眠り猫はそこからいち早く飛び出し、虎砲をする間もない黒ガラスの体を貫いた。
ズバン!!
胸に空く大穴。
霊の致死量を越える大量の血が、ボタボタと地面に滴り落ちた。
「あ…………が……何故……?」
今更大口を開けて虎砲を出そうにしても、眠り猫はもう貫いて後ろ。
黒ガラスは、パクパクと口を開け閉めさせた……



