「駄目だよ! 何してるのニャンコちゃん!」
「……お前達の金縛りが解除されたら、我が輩は飛び込む。もう一度ヤツが姿を消したら、もうこの足じゃ逃げ回る事も出来ない。最後のチャンスにゃのだ」
時が経つほど怪我が疼く。
時間はギリギリ、チャンスは一度。
これしかもう方法はないのである。
「駄目、駄目だよニャンコちゃん……そんな悲しい事言わないで。もう最後みたいな言い方しないで!」
それを聞くと嬉しかったのか、眠り猫はフッと笑った。
「ありがとう……またみんなでコタツってヤツに入りたいな……」
夜空にポワっと浮かび上がる映像……
眠り猫は今までの思い出を、東照宮の空いっぱいに思い浮かべた。
みんなでワイワイと笑い合い、ピザや寿司を食べて楽しかった出来事。
一回きりの事が、頭には強く残っている。
ずっ~~と……
誰にも構わず、何百年もの間、寂しくここで主のため尽くしてきた日々……
だけど、出会えた明るい仲間達。
少しでも触れた暖かみ。
誰かと過ごした夜。
誰かと語り合った夜。
眠る隣に誰かが居る夜。
たった一晩でも、眠り猫にとったら、それはかけがえのない思い出になるのだ



