ニセモ……
危険を察知し、眠り猫は手を離して体を回転させる。
ズオン!!
「ニャ!?」
うまく回避できたかと思われたが、今度は本当に体の一部をかすり、その部分の霊体は削り取られた。
「チ。一瞬でカタをつくとこを」
ヴヴヴヴヴ……
家康は振動の音波を流し、みるみる内に黒ガラスの姿へと変貌させた。
徳川の魂を奪ったヤツにとって、家康と同じ姿になるのは朝飯前。
しかも、よくよく考えれば家康がここにいるのもおかしいが、眠り猫なら真っ先に体が動いてしまう習性を持つのを理解していた。
そんな、忠誠心を巧みに利用した奇襲作戦だが……
礼子は眠り猫の鼻より、まるで犬のような嗅覚で見破ったのだ。
どんだけだよ。
「助かったニャ……少し傷が痛むが、最悪の事態はまのがれた。ありが……」
そう言い右手を見るが、礼子の姿はない。
しまった!
黒ガラスを離す時、つい礼子も同時に離してしまったのだ。
黒ガラスを投げ出した近くで、礼子はいきなり離されたのでビックリして、辺りをキョロキョロとしている



