フ……
黒ガラスは姿を消し、背景と同化させた。
「ぬ! 証拠にもなくまた!」
「消えたよ! わあ、引田天功イリュージョン!」
これは前にも見た事あるが、一度眠り猫による動物的勘に破られている。
それを今更何故また……
ピクッ
眠り猫は嫌な予感がした。
これも動物的勘の一つであるが。
「こっちニャ!」
「え?」
眠り猫は呆ける礼子の手を引き、走り出した。
それに被せるように、どこからともなく声が響く。
「コ!!!!!!」
何もない空間から虎のシャドウが浮かんだが、何とかかわすことが出来た。
そうか、なる程と眠り猫は考える。
集中すれば黒ガラスのだいたいの位置は把握出来るが、そんな事をしていれば真・虎砲の恰好の餌食となる。
適当に辺りを攻撃するにしても、真正面に飛び込んだらそれこそアウト。
この姿が消える技を合わせたら、手の出しようがない



