怪我をしている。
無傷のまま余裕で去ったハズの彼女が、何でこんな状態に……
「だ、大丈夫ですか……」
オッサンが恐る恐る手を伸ばすと、サキはそれを振り払った。
「アタイに触るんじゃないよ! うう……ちくしょう……」
泣いている?
あのプライドの高いサキが?
さっきの宇賀神の死に顔と言い、一体何があったのかワケを聞きたい。
「サキさん……一体どうなされたのですか? 理由を教えていただけますかな」
「うるさい!! アタイなんかに近付くな!!」
泣いてる理由。
自分が騙された事。
それ以上に、その事により礼子達を苦しめた自分の行いを話すわけにはいかなかった。
理由も言わずに、自害でもしよう。
いや、もう死んでるから無理やり生き返ろう。
そう考えてるとこに、礼子がつかつかと近付いた



