霊務・ザ・ファイナル(霊務4)


血を流し、意識が朦朧としている長年連れ添った相棒に、黒ガラスは最後に一言を漏らす。










「お前に恨みはない。殺さなくても良かった。しかし、お前は徳川に理想と憧れを抱き過ぎた。私はこれから東照宮と、お前と同じ徳川に関与した人間達を消しに行く。今までご苦労だった……」












そのまま黒ガラスは埋蔵金跡地を去り、暗い森の方へ日光市目掛けて行ってしまった。












(バカな……)












宇賀神は手を伸ばし、相棒の消した方向へ訴えた。











(バカな……)












見上げれば、夜空は今までにないくらいの満天の星。











仲間に裏切られた今とは裏腹に、悲しいくらい綺麗に輝いている。












(……)












意識が失う。











こんな結末……悲し過ぎる。












その時、同時に礼子達にかけられていた結界が溶け出した。











命の灯火が消えかける宇賀神は、結界が連動して力を失ったのだ