血を流し、意識が朦朧としている長年連れ添った相棒に、黒ガラスは最後に一言を漏らす。
「お前に恨みはない。殺さなくても良かった。しかし、お前は徳川に理想と憧れを抱き過ぎた。私はこれから東照宮と、お前と同じ徳川に関与した人間達を消しに行く。今までご苦労だった……」
そのまま黒ガラスは埋蔵金跡地を去り、暗い森の方へ日光市目掛けて行ってしまった。
(バカな……)
宇賀神は手を伸ばし、相棒の消した方向へ訴えた。
(バカな……)
見上げれば、夜空は今までにないくらいの満天の星。
仲間に裏切られた今とは裏腹に、悲しいくらい綺麗に輝いている。
(……)
意識が失う。
こんな結末……悲し過ぎる。
その時、同時に礼子達にかけられていた結界が溶け出した。
命の灯火が消えかける宇賀神は、結界が連動して力を失ったのだ



