まず最初にいきり立ったのは眠り猫。
「とうとう追い詰めたニャ! さあ、家康様の魂を返すニャ!」
そう言われて、素直に返す悪党などいない。
もちろん返事はNO~だ。
「徳川の魂はどうでもいいにしろ、この財宝だけは渡すワケにはいかないな。これは全て俺の物だ」
宝物を取られないようにと、宇賀神はさっそく武器を構える。
それを見てオッサンは礼子に耳打ちをした。
「君……札が効かないからって油断するんじゃないよ。黒ガラスは弱いからいいにしろ、宇賀神双って人間は何が飛び出すか分からない」
本来ならば、霊と人間が戦うなどまず有り得ない出来事。
たまに除霊と言って数珠を振り回す坊主がいるが、あれは9割が霊力のない偽物坊主。
親の跡継ぎでただなっただけの、言い換えればただのハゲ。
なまけハゲ。
言い換えればナマハゲか。
秋田のナマハゲも、ここからきてるのだろうか?
余計な事を考えたが、とにかく偽物坊主とは違う。
宇賀神は前にも札や結界の力を見せてもらった通り、そんじょそこらのエセ霊力者とは違うので、注意しなければいけない上、人間な為にこちらは強く手出しは出来ない。
軽くぶっ飛ばすくらいはいいが、霊の掟で人を殺めてはいけないと言う決まりがあるからだ。
(破った者は霊界追放)
どう戦うか悩んでると、礼子は指をさした。
「あれが双君なんだ。へ~~そうなんだ」
「前にも言った系統のギャグを思い付かなくていいから」



