しかし、今の全員の傷からしてソイツらにケンカ売るのも無防備ってもの。










特に礼子は、一度サキとの勝負に負けている。











眠り猫の力を借りても氷との相性が悪いので、勝てる見込が非常に薄い。











どうしたもんか……











「とりあえず傷を治すニャ」











「どうやって? 供え物でもエネルギーをもらうのかね? 無理だよ何もないこんなとこで」










オッサンの言う通り、戻って民家に立ち寄る時間はない。











すると、眠り猫は礼子の傷を舐め始めた。











「え? 何? キャハハ! くすぐったいよ~!!」












舌がザラザラ、いい感触。












何か快感を覚えようとするかと思ったら、傷が癒えるではないか。











「昔からあるガマの油と言う治癒薬が、我が輩の舌に塗られてるニャ。これで多少の傷が癒える」












本当だ。

腹に開いたデカい風穴は別として、細かい傷が消えている。











オッサンはそれを見て、バカなと驚く。











ガマの油と言っても、それはあくまで人間界のもの。


それを塗っても、そこまで霊体が癒えるハズはない。










これはもしや、知らず内の眠り猫の特殊能力か……?










それは誰にも分からなかった