おぞましい霊力。
ここに立っているだけでも分かる。
純粋な“力”のみの能力で言えば、今まで出会った敵の中で一番強大だと感じさせられる。
こんな能力を隠していたとは、流石三鬼神のリーダーと呼ばれるだけはある。
礼子はそれでも臆さずに、一瞬の間合いで張り手を浴びせようとする。
しかし……
パシッ!
その手を、見極められて掴まれてしまった。
掴まれた状態で、赤鬼は礼子をジッと見る。
何だと思っていると、そこから攻撃するわけでもなく、礼子を押し返すように強く払い出された。
ある程度の距離を保つと、赤鬼は声を漏らした。
「何だお前は? この俺様の体に触ろうとするクズが。言葉は分かるか? 何か言ってみろって、ええオイ」
初めて礼子を見るように話す赤鬼。
声のトーンも性格も、まるっきり違う。
どうやら先程の赤鬼の言った事は本当で、こう言う意味での自分の意識を失うと言う話らしい。
第2人格……
それが暴走によって出現した



