霊務・ザ・ファイナル(霊務4)


第一、これだけ元気に動けるなら、最初にボコられてる時に助けてくれればいいのに。



あのアンマ。











礼子など放っておいて逃げれば良かったと、後悔の念を抱きながら戦いを見守っている。











赤鬼は立ち上がり、口からペッと血を出した。











「貴様……もう許さんぞ」











ザワ……










その一言から、赤鬼の髪の毛は宙に浮くように一本一本逆立ち始めた。











何かの前触れのように、後方の森に居た鳥達がギャーギャーとわめき、全て飛び立ってしまう。











これは……?












「ククク……。目だけ赤くするでなく、全身にそれを使うとどうなると思う? 戦闘能力はおよそ10倍。貴様等など一瞬にしてひねり殺せる力だ。ただ、これを使うと力が暴走して俺の意識を失うがな……」











肌がピシピシと刺激のある感覚を受け、嫌な予感がする。











赤鬼の体はみるみるうちに真っ赤に変わり、髪は逆に白髪に染まりあがった。











その肉体は、より筋肉質な体へと変貌を見せ、服ははしけ、赤き不気味な絵面を浮かび上がらせる。









これは危険だ!



直感的に思ったが、時すでに遅し。









変身完了。


まるで別人のように、先程の赤鬼の姿はどこにもなかった