ハッハッハッ。









森の中を必死に走る、礼子とオッサン。









先程から10分は走っており、背負われた眠り猫は未だ目を覚まさない。









すると眠り猫は、寝ぼけてオッサンの頭で爪を研ぐ。










「痛だだだだだ! コラ! 私の頭は柱じゃないぞ」











「キャハハ! 白アリに食われたみたいに頭の中スカスカだけどね!」











……コイツいっぺんど突ついたろーか?









ろくに心配もしないで、隣でただ笑っているだけ。











この性格は、何べん生まれ変わっても変わらないのだろう。











ギャーギャーと言い争っていると、2人は何かの気配を感じ足を止めた。











礼子は体を両手でさすりながら、オッサンに尋ねてみた。









「オッサン、この森クーラー冷え過ぎじゃない? 全く……設定温度何度にしてんのよ」











「アホか礼子君。森にクーラーなど入らない。この冷気は……」










すると、真横の木の影から唐突に声を掛けられた。











「アンタ達、相変わらずの仲だねぇ……飽きないのかい?」










驚き身構えると、そこにはサキの姿があった。












「サキさん!」












その相手の呆れたようなセリフから、何となくいつもの仲間であったサキのような気がしてならなかった