すると、それを近くで聞いていた眠り猫は、その財布をヒョイと取った。
「ちょっと拝見させてくれニャ。ムム……間違い無い。コイツニャ」
財布から免許証を取り出し、その写真をオッサンに見せる。
あの一瞬の出来事だったので、あまり顔は覚えていないが、瞬間記憶が高そうな眠り猫が言うなればそれはそうだろう。
「でかしたニャ! 唯一の手掛かりだぞコレは! ヤツの住所も書いてある」
何と……
手掛かりと知らずとも、礼子が持って居たとは……
「ほえ?」
本人は、未だに何の事かサッパリ分かっていない。
どんだけの悪運なんだよ。
四獣霊もそれを聞き、少しは礼子の事を見直したようである。
オッサン立場無し