オッサンは嫌な予感がしながら、その財布を指差した。
「……礼子君。それどこから?」
「ん? 人間からギッたの♪お宝ハンター礼子の戦利品よ」
え……?
って……
「うおおおおおぉぉぉぉぉい!!!!!! おまっ! 人間から盗んだのかい!? 何ちゅーヒドい事を!」
しかも、ギッたって……
女の使う言葉じゃないだろ。
そう言っても、礼子は全然悪びれた様子はない。
「だってムカつくんだも~ん! ソイツ何か煙玉何個か屋根に投げてて、アタシにも直撃したんだよ? あったまきちゃって、後ろから長財布をケツからギッてやったの」
だからって、それでもヒドい。
いくら直撃したって、たかが煙玉……
ん……?
オッサンは少し止まって、もう一度聞き直した。
「レイコクン……ソレ『どの人間』カラ、ヌスンダッテ……?」
その変なカタコト質問に、ケタケタと笑い返した。
「キャハハ! 耳遠くなったのオッサン? やーねー高齢者加齢臭は。だから、煙玉投げた人間よ」
礼子は財布の札束を取り出し、スリスリ頬にこすりつけながら話を続けた。
「ソイツ盗られた事も気付かず、木登り何て始めちゃうんだもん。最初から頭おかしい人だったのよ。だから、このお金はいいの有意義に使って★」
……何だって?
オッサンへの悪口はいいにして、今話した人間って……



