「ところでさ……」
亀咲は、オッサンの後ろの眠り猫をチラリと見て言う。
「このマスコットみたいなのは何? さっきから寝ながら、器用に歩いてるんだけど……」
どうやら過去の長い話に飽きてか、眠りに入ったようだ。
「ああ……これは、かの有名な家康公を護る眠り猫君です。人獣でありながら素晴らしい忠誠心。これも狸寝入りであります」
っていや、鼻ちょうちん出てるんだけど……
実は、本気で眠っている眠り猫であった。
「え! これ着ぐるみじゃなくて本物かい!? キャーかわいい!!」
四獣霊とは言え、唯一の女性。
亀咲はいつものキャラを忘れ、喉をナデナデした。
「ゴロゴロあふん……コラ止めろ、気持ちいいじゃないか。お、話は終わったか?」
そう言っても更に可愛くて、亀咲はエスカレートした。
「キャー! 喋った!! ほら朱雀! 白虎! あんたらも撫でなよ!」
火鳥は動物アレルギー。
獅死雄は一匹狼なので、興味がなさそうに答える。
「フンくだらぬ……」
すると、眠り猫はふと気付いた。
「ん? 白虎? お~~。ニャんだ獅死雄じゃないか」
は……?
何で獅死雄だけを?



