長かった梅雨も終わり、季節は太陽が燦々と輝く夏になった。

もうすぐ夏休み。

蘭とピーターは、相変わらず約束もしない関係だったが、用がない時以外はほぼ毎日会っていた。

平日は海岸通りで、わずかな時間をゆっくりと過ごした。

休日は少し街を歩いたりした。

この間は、初めて岩場で遊んだ。

前に見かけた恋人達のように、水をかけ合ったりしてふざけたり、手をつないで歩いた。

2人の距離は近づいたが、手をつなぐより先には進まなかった。

高校3年生にもなれば、初体験を済ませている人は多いだろう。

しかし蘭は、手をつなぐだけで幸せな気持ちになった。

それ以上にピーターと深くつながることが、怖いような気がした。

今この時が幸せであればあるほど、それを手放したくないという恐怖にも似た気持ちが、蘭の中で強くなっていた。

今のままでいい。

この幸せがずっと続いてほしい。

蘭はそう願った。