出会ってから、2回目の週末。

会いたい。

蘭は切実にそう思った。

こんなにも学校に行きたいと感じたのは、初めてかもしれない。

学校がある日は、ピーターに会えるのに。

蘭は大きなため息をついて、部屋を出た。

キッチンで麦茶を飲んでいると、母親の佐雪が顔を出した。

「あぁ、疲れた。私にも1杯ちょうだい」

「うん」

蘭はコップにお茶を注ぎ、佐雪に手渡した。

ゴクゴクゴク……と、喉を鳴らして一気に飲む。

「仕事、忙しいの?」

と、蘭は聞いた。

「秋の新メニューを考えてるんだけどね、なかなかいいアイデアがわかないのよ」

と、佐雪は言った。

佐雪は離婚してから、親類が経営するレストランで働くようになった。

持ち前の料理の腕を発揮し、今は新メニューや季節限定メニューなどの、商品開発を任されている。

佐雪が作ったメニューは評判で、佐雪が商品開発に関わってから店舗数が増え、親類が是非共同経営者に、と誘っているが、佐雪は頑なに拒んでいた。