あたしが一時停止している間にも、沖田さんは障子に手を掛けている。


甘味?

沖田さん、意味わかんないんだけど。


とりあえず…、今すぐには殺さないって事なのかも。



「千春さん?行きますよ?」


「……いえ、あたしは…」



結構です、と言おうとする前にグイッと手を引かれ、転びそうになりながらも半ば強制的に外へ出る。


そこには、ただ真っ青な空があっただけなのに、あたしにはとても輝いて見える。


理由なんてわからないけれど、ほんの少し安心したような気がした。






「さあ、千春さん。たっぷりと食べて下さいね!」


「……これ…、全部ですよね?」



団子、饅頭、金平糖、団子、饅頭、団子…。



沖田さんに連れて来られたのは、やっぱり甘味屋さんだった。


なんでも、このお店にはハズレが無いとかで。


でも…、今目の前にある甘味だけで、あたしはお腹いっぱいになりそう。