もし、神崎が間者であれば俺達に何かしら接触を図ったはず。


だが、神崎は逆に人との関わりを避けていた。


見ていて不自然過ぎるくらいに。


俺はそういう事も含めて副長に説明した。



「……どうでしょうか、副長」


「…そうだな、お前等が言うのも一理あるかもしれねぇな」



長いため息を吐き、副長が再び考え込む。



「最近また、長州の奴らが不穏な動きを見せている。神崎が黒なら─…」


「千春さんは、動きますよね。ですが、何も起こらなかった場合、千春さんを白だと認めてくれますか?」



黙っていた総司が話に加わり、副長は一瞬面食らったようだが、一呼吸置いて頷いた。



「あぁ、認めてやるさ」


「それ、忘れないで下さいね」



頷いた、のはいいのだが…副長と総司の関係は少し複雑になったような…。


とりあえず、俺は─…。



「よし、解散だ解散。肩が凝ってしょうがねぇ」


「同感です。疲れました」



俺は、副長達の指示に従うことだけを考えよう─…。