あたしはドレスをはたいて、立ち上がった。
ここは、一体全体どこなんだろう。
あたしは、あの時に死んだはずなのに…。
「…あの、ちょっと待って下さい」
「……!」
歩き出そうとすれば、腕を掴まれたけど、反射的に身体が強張って、振り払ってしまった。
…少し罪悪感が残る。
「…すいません」
「あ、いえ。貴女は天使ですか?その着物は、なんですか?」
「………」
「その着物、すごく珍しいですよね?どこで手に入れたんですか?」
今時、着物姿のあなたのほうが、珍しい気がする。
それに、さっきから笑顔を絶やさないのが少し怖い。

