あたしの、飾り気が全くない薄いピンクの携帯。 電源を入れて、操作する動作は手が覚えているようでスラスラと動いていく。 だけど、あたしが確かめたかったのは、一つだけ。 「……圏外…」 やっぱり、ここは電波がない。 そして──。 「……江戸時代で……タイムトラベル…」 あたし…今更だけどやっと実感した。 地面は普通に土だし。 街灯なんて提灯だし。 手紙なんて飛脚だし。 「………帰れる、のかな」 元の時代に。 あたしがいた、あの時代に。