あれから、また雨は激しくなり、容赦なくあたしの体温を奪う。


細い道に入って、階段の下に身を潜める。


荒い呼吸を鎮めなきゃ。

それにしても、ずいぶん時間が経った。



「見つけたぞ…!!!」


「………!」



顔にライトを当てられ、また走って逃げる。


さっきから、それの繰返しだ。


細い道を出て、大きな道路に飛び出る。


─その瞬間。




キキ――――ッ!!!



トラックが、あたしに向かって、突撃しようとしている。


急に、身体が動かなくなった。

ううん、動けなかった。



トラックの動きがスローモーションのように見える。


あたし、死ぬんだ。

良かった、苦しみからやっと解放される。


これで、あたしは自由になれる。



ゆっくりと目を瞑ると、身体全体に強い衝撃が走ったと同時に。



「………」


―――自由になれるけど、苦しみから解放されるけど―――


――やっぱり――


―――一度でいいから、誰かに必要とされたかった―――




あたしの意識は、完全に途絶えた。