息が荒く、目が血走っているオジサン。


やっぱり、こんなデブと結婚なんて絶対に無理…!


ここから逃げて、誰も知らない、誰も追いかけて来ない場所へ逃げよう。



――でも、何処へ…?

そんなの、逃げてから考えればいい――



ごめんなさい、お母様。

あなたを、また裏切ってしまう。


――だから、次会えたときには、約束通り、殺して下さって結構です――



「千春、ちゃん…。これから、オジサンと一緒に楽しもうね…?」


その言葉に全身に鳥肌がたった瞬間、あたしは目をカッと開いて睨む。


それにビビったのか、あと数センチで触れそうだった唇は一瞬止まった。


あたしはその一瞬を逃さずに、頭突きをする。


ゴツッ…!



「な…!何をする…!?」


「…ごめんなさい」



ダダダッ…!!!


バージンロードを、ウェディングドレスで懸命に走る。


呆気に取られていた人達も正気に戻り、あたしを捉まえようとこっちに向かってきた