ブンッブンッ
「………ん、あれ…?」
ここは…そうか、あたし女中になったんだっけ。
それから、沖田さんの背中で寝ちゃったんだ。
でも、ドレスのまま寝ちゃったから、しわくちゃだな。
ブンッブンッ
変な音が聞こえる。
それにしても、沖田さんの姿が見当たらない。
何処へ行ったんだろう、と思って襖を開ける。
「…あ、千春さん。おはようございます!」
「……おはようございます」
襖を開けたその先に、竹刀を持って、庭で練習している沖田さんがいた。
竹刀を持って、ニコニコ笑いながらこっちへ来る。
「さ、千春さん。行きましょうか」
「は……?」
行くって、何処へ?
そう聞こうとしたけど、沖田さんがあたしの腕を引っ張っていて、聞くことが出来なかった。

