「あかん。もう、うち…なんでこんな阿呆なんやろ…」
新撰組・屯所。
土方さんの部屋にて。
今日の1日の内容を土方さんに報告しつつ、初日から愚痴を零しております。
だって。
だって…。
うち、自分がこんなにも物覚えが悪いと思わんかってんもん…。
「まあまあ、雪さん。最初から上手な人なんていないですよ」
「や、山崎さん…!」
ため息をついてどんよりしていると、山崎さんが助け舟を(若干苦笑いやけど)出してくれた。
なんか、関西弁消えてるけど!
あれはやっぱり演技やってんなぁ。
「はっ。まさか初日で店主に怒られるのはお前くらいだっての」
「うぅ…。酷い、土方さん…」
鬼!
土方さんの鬼!
土方さんから優しい言葉なんて、これっっっっぽっちも期待してないんやから!
寧ろ、優しかったら明日の天気は大雨決定やっ!
あの後。
右喜衛門さんに品物を見せて貰って、値段を覚えててんけど…。
「まさか、1日費やして3品しか覚えてこれねぇって…お前頭がおかしいんじゃねぇか?」
「──っもう!酷い!山崎さん、土方さん酷いですっ!!なんとかして下さい!」
「…副長。これ以上雪さんを苛めないでくれますか?」
「あ?」
さっすが山崎さん!
うちだって今日一生懸命頑張ったのに、こんなに意地悪に言わんでもいいと思うねん。
いや、うちが阿呆なのが全部悪いと思う。
やけど──
「──せめて、3品『しか』覚えることができなかった謎の凄さを褒めてやって下さい。明日もこんな調子じゃ困りますんで」
「………山崎さん…酷いです」
「お前、意外に毒舌なんだな」
前言撤回!
山崎さんも嫌いになりそうや。

