無表情には変わりないが、声が暗くなっていくことによって、一君が落ち込んでいるのがすぐにわかる。
「一君、断れなかったんですか?優しい人ですね」
「………いや。そのようなことは…」
「ありますよ」
「……む、そうか…?」
そんなことはないが、と話す一君は、心底不思議そうにしながら首を傾げる。
一君はお茶を味わうように、ゆっくりと飲む。
僕は二本目の団子を食べ終え、三本目を取ったとき、また一君がポツリと呟いた。
「………総司は」
「はい?」
「……この度の任務、どう考えている?」
「そうですね…、正直まどろっこしいことは嫌いなので、今すぐにでも桝屋へ突入したい気分です」
「……」
証拠が必要でも。
今が時期じゃないとしても。
待っているだけては、千春さんが帰って来ることはないのだから。
「…ですが、まあ我慢しますよ」
「………そうか」
あの時、一君が静かに怒られて頭が冷めた。
理解もした。
……納得はしていませんけど。
それより、
「雪さんでは正直不安が募りますね。山崎さんがいるから大丈夫でしょうけど。ですが、土方さんもよく考えましたよね」
「……そうだな。内容を聞いたときは耳を疑った」
「僕もです!いくら任務とはいえ…雪さんと山崎さんを夫婦同士にするなんて」
土方さん、いくら千春さんを見つける為だからといってそこまでしなくても。
証拠なんて適当にでっち上げればいいと思うんですよね。
巡察のときも範囲を広げて、聞き込みや見回りを強化しているのに、何故かいくら捜索しても見つからない。
(…多分、攘夷派の奴らが隠蔽していると思うんですけど)
「とりあえず、僕は稽古を続けますよ。もし、山崎さんが失敗なんてしたら…どうしましょうか?」
「……あんたはまず、その黒い笑みを隠した方がいい」
「そんな!僕は普通に笑ってますよ」
無表情の下には必ず優しさがある。
千春さんは、どうしたらその優しさを見せてくれるのでしょうか?

